漢字草書体の価値
隷書を崩した漢字の草書体を、さらに崩した狂草と呼ばれるものを含め、非日常的ではあるものの漢字の草書体は芸術的価値を持つ書体としては、現在も広く愛好されています。
また、そうした状況から、パソコン等でプリントアウトできるように専用の漢字草書体フォントも発売されているようです。
余談ですが、英語のアルファベットの「筆記体」を草書体と呼ぶこともあるようです。
漢字の草書体とは
隷書の時代に、書きにくい隷書の字画を大きく省略して、速く書くことができるようにしたのが漢字の草書体ということらしいです。
スポンサードリンク
隷書を文字ごとに決まった独特の省略をした草書体と、隷書の走り書きに始まった行書体という素性の違いからか、同じ隷書に端を発しながらも、今では、たいていの人が読める行書体、ほとんどの人が読めない草書体となってしまいました。
そんな現在の日本ですが、昔は漢字の草書体が手書き文字の基本として使われていました。
紫式部や清少納言の活躍した万葉の時代からほぼ千年、江戸時代の寺子屋や明治初期の教育での基本は漢字の草書体だったようです。
この草書体文化が駆逐されるのは明治時代に普及された活字のために、漢字が楷書体に統一されてしまったからでしょう。
文学作品として古文と漢字の草書体を使ったのは、樋口一葉が最後だそうです。
楷書体とは
隷書を基本に行書体が確立された時代、南北朝から隋唐にかけたころに標準となった書体を基にしているようです。
行書体を画一化するため一画ごとに明確に分解されたものが楷書体と言えるようです。
しかし楷書という名称が確立された宋の時代以降のものを取り入れたはずの日本ですが、活字として統一された明朝体をなぞって漢字=楷書体とされていた場合がほとんどのようです。
その後活字として教科書体等様々な字体が現れ、その印刷文字を楷書体と思いこんで現在に到ったと言えるでしょう。
文字そのものの齟齬をきたすと言い切れる変形ではないものの、そうした認識のため本来あるべき行書体との連携は、書き順等を含め完全な齟齬が散見するようです。
一点一画を崩さずに書くものを楷書体。やや崩した書体が行書体。
さらに崩し続け書きにしたものを漢字の草書体という風潮のもとでは、その齟齬を正すことも難しいままなのでしょう。
